#第3回定期の記事:3件
幻想交響曲op.14はフランスの作曲家ベルリオーズ(1803–1869)が1830年に作曲した交響曲であり、彼の最大の代表作である。当時としては楽器編成、楽曲構成ともに大規模な管弦楽作品ではあったものの、作曲に要した期間はわずか3か月ほどであった。自筆譜の表紙には「ある音楽家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲」と記載されている。ここでの「ある音楽家」とは、他ならぬベルリオーズ本人のことである。作曲……
《アルルの女》第2組曲は、フランスの作曲家ビゼーの劇付随音楽《アルルの女》を元に、彼の親友でパリ国立音楽院作曲学教授のギローによって編曲された組曲である。ビゼーは、1838年、パリにて、声楽教師の父とピアニストの母の間に生まれる。幼い頃から音楽に親しみ、《真珠採り》(1863)や《美しきパースの娘》(1866)で劇音楽作曲家としての地位を確立すると、1875年には代表作の一つ、オペラ《カルメン》が……
エマニュエル・シャブリエ(1841–1894)は、フランスが近代国民国家へと変わりゆく激動の時代に生を享けた。6歳で音楽をはじめると、とりわけピアノ演奏において卓越した才能を示したという。しかし彼は専業の音楽家としての道を選ばず、法学を学び内務省に就職した。一連の政治革命の中で、多くの音楽家が宮廷や教会での職を失っていたためである。音楽への想いを諦められなかったシャブリエは、フォーレやダンディらと……