Orchestra Canvas Tokyo Blog

# 第1回定期の記事:3件

ブラームス / 交響曲第1番 ハ長調 作品68

恩師シューマンの勧めにより交響曲第1番の創作に着手したブラームスは、その完成に実に二十年余りを費やした。シューマンは評論『新しい道』(1853)の中でも、ブラームスを讃えつつ、「合唱・オーケストラ曲といった規模の大きな作品においても力を発揮することを期待したい」と記している。他方、決して遅筆ではないブラームスが、心待ちにされた交響曲第1番の完成にこれほどの時間をかけたのは、やはりベートーヴェンの存……

2022/8/7

ベートーヴェン / 交響曲第1番 ハ長調 作品 21

本作品は概して、ベートーヴェンのウィーンにおける作曲技法修練の集大成と、独自路線開拓の記念碑的作品と言える。初演は1800年4月、当時29歳のベートーヴェン自身の指揮によって執り行われた。彼は本作品を、ハイドンやモーツァルトの作品、自身の《七重奏曲》などを含むプログラムのトリに配して、満を持す形で世に放ったのである。ドイツのボンで生まれた田舎者の青年が、その後作曲家として大成するウィーンに落ち着い……

2022/8/7

リスト / 交響詩《前奏曲》

われわれの一生は、その厳粛な第一音が死により奏される未知の歌への一連の前奏曲でなくてなんであろうか。交響詩《前奏曲》は、リストの管弦楽作品のうち、最も有名かつ重要な作品の一つである。本作品は、冒頭に掲げた文章に始まる標題を持つ。標題とは、文学や絵画といった音楽外の観念や表象であり、これに従った自由な形式の音楽作品を指す標題音楽や、その代表的ジャンルとしての交響詩という用語は、リストによって初めて用……

2022/8/7
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