Orchestra Canvas Tokyo Blog

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コープランド / バレエ音楽「アパラチアの春」組曲

アーロン・コープランドは、1900年1月14日にニューヨークのブルックリンでユダヤ系移民の両親のもとに生まれました。作曲家を志した彼は、ナディア・ブーランジェの指導を受け、以後3年に渡ってパリで研鑽を積みます。ブーランジェは、後にバーンスタインや、ミニマル・ミュージックの大家で知られるグラスなども指導をしており、20世紀のアメリカ音楽の源流の一つとなる重要な人物です。パリからアメリカに戻った彼は、……

2022/8/14

ガーシュウィン / パリのアメリカ人

ジョージ・ガーシュウィンは、1898年9月26日にニューヨークのブルックリンでロシア系移民の両親のもとに生まれました。両親が兄アイラに買い与えたピアノを譲り受けた彼は練習を重ね、1917年に高校を卒業したのちは、ブロードウェイの傍に事務所を構える音楽出版社で、試演奏者として働き始めました。間もなく創作活動も開始しミュージカルやショーに向けた音楽を作り始めたことも、その環境を思えば当然のことでしょう……

2022/8/14

ブラームス / 交響曲第1番 ハ長調 作品68

恩師シューマンの勧めにより交響曲第1番の創作に着手したブラームスは、その完成に実に二十年余りを費やした。シューマンは評論『新しい道』(1853)の中でも、ブラームスを讃えつつ、「合唱・オーケストラ曲といった規模の大きな作品においても力を発揮することを期待したい」と記している。他方、決して遅筆ではないブラームスが、心待ちにされた交響曲第1番の完成にこれほどの時間をかけたのは、やはりベートーヴェンの存……

2022/8/7

ベートーヴェン / 交響曲第1番 ハ長調 作品 21

本作品は概して、ベートーヴェンのウィーンにおける作曲技法修練の集大成と、独自路線開拓の記念碑的作品と言える。初演は1800年4月、当時29歳のベートーヴェン自身の指揮によって執り行われた。彼は本作品を、ハイドンやモーツァルトの作品、自身の《七重奏曲》などを含むプログラムのトリに配して、満を持す形で世に放ったのである。ドイツのボンで生まれた田舎者の青年が、その後作曲家として大成するウィーンに落ち着い……

2022/8/7

リスト / 交響詩《前奏曲》

われわれの一生は、その厳粛な第一音が死により奏される未知の歌への一連の前奏曲でなくてなんであろうか。交響詩《前奏曲》は、リストの管弦楽作品のうち、最も有名かつ重要な作品の一つである。本作品は、冒頭に掲げた文章に始まる標題を持つ。標題とは、文学や絵画といった音楽外の観念や表象であり、これに従った自由な形式の音楽作品を指す標題音楽や、その代表的ジャンルとしての交響詩という用語は、リストによって初めて用……

2022/8/7
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