#第10回定期の記事:3件
ショスタコーヴィチが生まれた1906年は、ロシア第一革命の翌年に当たる。ショスタコーヴィチの一家は革命運動に共感しており、幼少期から彼は常に革命の精神にさらされてきた。「二月革命」「十月革命」(1917)を経てレーニン率いるボリシェヴィキが権力を掌握していく頃、ペトログラード音楽院にて本格的な音楽教育を受け始める。出世作となる《交響曲第1番》(1925)は、作曲科の最終試験で書かれた。楽壇に躍り出……
プロコフィエフはショスタコーヴィチらと並び20世紀ロシアを代表する作曲家である。新古典的楽曲から革新的楽曲まで幅広い作品を残しており、その特徴を一概に語ることは難しい。出身は現在のウクライナ、ドネツィク州の農村であるソンツォフカであり、ロシア革命を受けての亡命や、ソヴィエト共産党中央委員会による雑誌批判に端を発する文化弾圧”ジダーノフ批判”の対象として一部楽曲の演奏を禁止される等、政治的に波乱の生……
《祝典序曲》は、ソヴィエト共産党中央委員会からの委嘱作品として作曲され、1954年11月、第37回ロシア革命記念日の祝典で初演された。本作は、ソ連の政治的転換期の中で発表され、共産主義の祝祭的な雰囲気を纏いつつも、ショスタコーヴィチの胸中に秘められた機微を示唆するものとなっている。本作が発表される前年の1953年3月5日、ソ連の最高指導者であったスターリンはその生涯を終えた。スターリンはロシア革命……